カーボンクレジットの「永続性」とは何か?カーボンクレジットの永続性について詳しく解説

カーボンクレジットが本当に環境にとって意味のあるものであるか評価を理解したいという声が企業から多く聞かれるようになりました。カーボンクレジットの品質を評価する上で重要な指標は「追加性」「定量性」「永続性」などいくつか存在しますが、その中でも「永続性」はどのようなものか曖昧に理解されることが多いです。

この記事ではカーボンクレジットの永続性とは何か、プロジェクトはどのようにして永続性を確保するのか、そしてクレジットを購入する企業はどのように永続性のを評価すればいいのかを解説します。

カーボンクレジットの永続性とは

カーボンクレジットにおける永続性とは、「あるプロジェクトによって排出削減または大気から回収された二酸化炭素が、一定期間再び大気に放出されない(逆転しない)こと」を言います。

品質の良いカーボンクレジットのプロジェクトでは、少なくとも100年間は大気中から除去した炭素を閉じ込めておくことを保証しています。

この100年という期間はプロジェクトが「永続的」であると示すための基準として利用されていますが、これは科学的な永遠を保証するものではなく、運用上わかりやすい定義と言えます。

カーボンオフセットは永続性を保証できるのか?

未来において何が起こるかはわからないからカーボンクレジットの永続性を保証することなどできないと考える方もいるでしょう。

たしかに、気候変動によって世界中で洪水、干ばつ、山火事、疫病が増加する中、自然を活用したカーボンクレジットプロジェクトでは、貯留した炭素が再度大気に放出されるリスクがあります。

例えば、高温で乾燥した気候にある森林保護プロジェクトは山火事のリスクが高くなります。森林プロジェクトが火災に見舞われれば、樹木や土壌に蓄積された炭素が放出されることになります。同様に、熱帯林が伐採業者に引き渡されたり、病気や害虫が蔓延したりすれば炭素放出の原因となります。

ただし、ここで留意すべきは炭素放出を防げるものと不可抗力的に防げないものがあるということです。自然要因の火災等は防ぐのが難しいですが、森林伐採からの保護は人間の活動によるもので事業者の努力によって防止することができます。

このように、各プロジェクトがどのように事前に約束した期間、炭素を貯留しようとしているかを評価していくことが重要となってきます。

カーボンクレジットの永続性を保証する仕組み

以上のように一見カーボンクレジットが永続性を担保することは不可能に見えますが、実はカーボンオフセットの裏では永続性を担保するための仕組みが考案され、多くのプロジェクトに対して保険が機能しています。

その仕組みとは、プロジェクトが永続性を確保するために、一定数のクレジットを保険として「バッファー・プール」に割り当てることで、永続性を担保するというものです。「バッファー」とは「予備」「緩衝」などの意味があり、予め決められた量のカーボンクレジットを予備として保管しておくことを言います。

この保険のような仕組みにより、大きな予備クレジットプールが形成され、事前の予想に反して将来炭素が逆転した際は予備クレジットを利用して補填することでプロジェクトを守ることができます。

例えばある森林プロジェクトが火災により焼失した場合、別の場所で実施された森林プロジェクトから創出されたカーボンクレジットをプールから引き出し、損失を補うことができます。

カーボンクレジットの発行量とバッファプールの量は、通常の保険と同様にプロジェクトの想定されるリスクレベルによって決まります。高リスクのプロジェクトは、多くのクレジットを保険として蓄えておく必要があります。

またプロジェクトによっては、土地の使用方法に関する法的な制限を遵守したり、間伐、枝打ち、草刈りなどの燃料処理を行い、火災被害の可能性を最小限に抑えるなどリスクを軽減するための一定の行動をとることで、保険コストを下げることもできます。

ただし、現在は世界中で山火事や自然災害の発生件数が増加しているため、現在のバッファープールにあるクレジット量では将来の被害をカバーしきれない可能性も指摘されていることは留意すべきでしょう。

購入するクレジットが永続的か確認するには?

カーボンクレジットプロジェクトの永続性について完全な保障を得ることは不可能ですが、購入するクレジットが高い永続性をもつかを確認するための方法はあります。

①プロジェクトのリスクを確認する

良いカーボンクレジットのプロジェクトには、炭素の逆転リスクを管理・軽減するための適切な計画を立て、実行しています。具体的な計画には次のようなものがあります。

リスク管理の具体例

・森林火災や病気のリスクを軽減するための間伐

・資金不足によるプロジェクトの失敗を防ぐための財務管理

・土地が乱獲されたり、他の用途に転用されたりしないようにするための地役権や法的制限などの措置

②格付機関との提携

実際に企業がプロジェクトの永続性を評価することは困難な作業で、多くの場合、高度なデータと技術を必要とします。

そして現在クレジット購入または購入を検討している多くの企業は、クレジットの品質を検証するためにTolligenceのような信頼できるカーボンクレジット情報分析機関を利用しています。

Tolligenceではプロジェクトの全体像を企業に提供するために様々なリスク要因の可能性と深刻度を個別に評価し、総合的なリスクスコアを算出し、高品質のクレジットを示しています。

高品質のクレジットを選別することで社会的にブランドを毀損するリスクも軽減することができます。ぜひ利用を検討してみてください。