バイオ燃料とは何か?バイオ燃料の種類と用途をまとめて整理

化石燃料への依存を減らすためにバイオ燃料に注目が集まっています。バイオ燃料は再生可能な資源として注目され、化石燃料を補完または代替するものです。一般的に、バイオ燃料は化石燃料に比べて温室効果ガスの排出量が少ないとされ、環境に優しいと見なされています。バイオ燃料の技術開発が進み実用化されれば、交通・空調・発電など私たちの暮らしを様々な点で一新できる可能性を秘めています。

国際エネルギー機関(IEA)によると、バイオ燃料の需要は2022年に6%増加しました。また、今後も2023年から2028年の間に需要は104億ガロン(380億リットル)増加する見込みで、2028年にはさらに23%の成長が見込まれています。しかし、バイオ燃料の生産コストや大規模商用化、農地利用の配分の問題など、依然として多くの課題が残っています。ネットゼロ、化石燃料からの脱却に向けて、バイオ燃料はどのような役割を果たしていくことになるのでしょうか。

本記事では、バイオ燃料の概要、現在利用可能なバイオ燃料の種類、普及における課題、そして現在の研究が公共・民間セクターに与える影響について探ります。

バイオ燃料とは?

「バイオ燃料」と聞くと、どのようなイメージをもつでしょうか。唐揚げを揚げた後の油で自動車の燃料にするイメージをされた方は、良い線をついています。

バイオ燃料は、植物や藻類、動物の廃棄物といったバイオマスから作られる代替燃料です。現在の生産では、トウモロコシやサトウキビ、大豆などの作物を栽培し、これをバイオ燃料に変換しています。代表的なバイオ燃料であるエタノールやバイオディーゼルは、発酵(エタノール)やエステル交換反応(バイオディーゼル)といったプロセスを経て生成されます。食品生産との競合を避けるために、動物廃棄物や特定の作物を利用した高度なバイオ燃料の開発が進められています。

第一世代と第二世代バイオ燃料の違い

バイオ燃料は一般的に第一世代と第二世代に分類されます。第一世代のバイオ燃料はサトウキビや植物油などの食用作物から生産されるのに対し、第二世代は農業廃棄物や動物廃棄物、藻類、エネルギー作物などの非食用の有機物を使用します。第一世代のバイオ燃料は生産コストが低い一方、食料作物用地との競合により大規模な生産が難しいことで知られています。これに対し、第二世代は生産コストが高いものの、大規模生産の可能性が高いとされています。ただし、第一世代はすでに広く生産されて普及していますが、第二世代は研究開発中のものが多く、実用化の範囲は限られています。

バイオ燃料の種類

バイオディーゼル
動物性脂肪、植物油、再利用されたグリースからエステル交換反応によって生成される再生可能なバイオ燃料です。ディーゼル燃料と化学的に似ており、エンジンの改造なしで使用できます。バイオディーゼルを選ぶことで温室効果ガスの排出を抑制します。

エタノール
最も一般的なバイオ燃料で、トウモロコシやサトウキビなどの有機物を発酵させて作られます。このプロセスで生成されたエタノールはバイオエタノールの主成分であり、ガソリンとの混合燃料や暖房、ボイラーでのエネルギー生成、産業用途に広く使用されます。

再生可能ディーゼル(HVO)
バイオディーゼルに似た代替燃料で、加水分解反応により有機物を高温高圧で水素と反応させて生成されます。HVOは化学構造がディーゼルと似ており、混合や改造なしで使用できるため、持続可能性を促進するための簡単な代替手段となります。

バイオガス
有機物の分解から生成されるバイオ燃料で、主にメタンガスです。農業分野で利用され、有機廃棄物の分解によって生成されます。バイオガスはメタン排出量を削減し、残った物質は肥料として再利用できます。

バイオメタン
バイオガスと似ていますが、バイオメタンは精製されて95%のメタンを含む純度の高いガスとされます。この高純度により、バイオメタンは天然ガスと組み合わせて交通機関の燃料や発熱・発電に利用できます。

バイオブタノール
作物、藻類、農業や森林廃棄物の発酵から生成されるバイオ燃料です。エタノールほど普及していませんが、エネルギー密度が高く、一部のバイオ燃料よりも輸送しやすい特性があります。

バイオ燃料への期待

バイオ燃料の導入に向けた動きが世界で広がっています。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2024年には需要が11%増加すると予測されています。主な市場は米国、ブラジル、ヨーロッパ、インドネシアで、全需要の約85%を占めています。2023年6月には、EUが再生可能エネルギー指令(RED III)の新たな改正を批准し、2030年までに輸送用途のエネルギーに最低14%の再生可能エネルギーを含むことを義務付け、そのうち3.5%以上はバイオ燃料であるとされています。